食後の眠気はなぜ起こる？消化と血糖値の関係

「昼食後に眠くなるのはなぜ？」「仕事や勉強に集中したいのに、食後に眠気が襲ってくる…」こんな経験はありませんか？
食後の眠気は、多くの人が抱える悩みの一つです。この現象には、消化のための血流の変化や血糖値の急上昇・急下降が関係しています。

本記事では、食後の眠気が起こる理由と、その対策について解説します。

食後の眠気の原因とは？

食後に眠くなる主な原因は以下の3つです。

食後の眠気の原因とは？

食後に眠くなる主な原因は以下の3つです。

消化による血流の変化
食事をすると、消化のために胃や腸へ血流が集中します。
その結果、脳への血流が一時的に減少し、酸素や栄養の供給が減ることで眠気を感じやすくなります。特に、脂質やたんぱく質を多く含む食事は消化に時間がかかるため、血流の集中が長引くことがあります。
血糖値の急上昇と急下降
炭水化物を多く含む食事を摂ると、血糖値が急激に上昇します。特に、白米やパン、砂糖を多く含む食品は血糖値を急上昇させやすく、体はこれに対応するために大量のインスリンを分泌します。その結果、血糖値が急激に低下し、低血糖状態になることで、だるさや眠気が引き起こされることがあります。
神経伝達物質「セロトニン」と「メラトニン」の影響
食事を摂ると、食材に含まれるトリプトファンというアミノ酸が脳内でセロトニンに変換されます。セロトニンは精神を安定させ、リラックス効果をもたらす神経伝達物質です。その後、セロトニンは夜間にメラトニンという睡眠ホルモンへと変換されます。
特に、糖質と一緒にトリプトファンを多く含む食品（チーズ、卵、大豆製品など）を摂取すると、セロトニンの合成が促進され、食後に眠気が強まることがあります。
副交感神経の働き
食事をすると、副交感神経が優位になり、体がリラックスモードに入ります。特に、大量に食べた場合や消化に時間がかかる食事を摂取した場合、副交感神経の作用が強くなり、体温が下がることで眠気が生じやすくなります。
糖質の影響
糖質が多い食事を摂ると、血糖値が急上昇し、それを下げるためにインスリンが大量に分泌されます。このインスリンの働きによって、トリプトファンの有効活用が促進され、セロトニンやメラトニンの合成が促進されます。
その結果、リラックス効果が高まり、副交感神経が優位になりやすくなります。特に、高GIの糖質（白米、砂糖を多く含む食品）はこの作用を強く引き起こすため、眠気を感じやすくなります。

食後の眠気を防ぐ方法

低GI食品を選ぶ
低GI食品（血糖値の上昇が緩やかな食品）を選ぶことで、血糖値の急上昇と急下降を防ぎ、眠気を抑えられます。
- 例：玄米、全粒粉パン、オートミール、豆類
バランスの取れた食事を心がける
炭水化物だけでなく、たんぱく質や脂質も一緒に摂ることで、血糖値の変動を抑えることができます。
- 例：魚や鶏肉、ナッツ、オリーブオイルを適度に取り入れる
食後に軽い運動をする
食後に軽いウォーキングをすることで、血糖値の急上昇を防ぎ、眠気を軽減できます。特に15分程度のウォーキングが効果的です。
食事の量を調整する
一度に大量の食事を摂ると、消化に必要なエネルギーが増え、眠気が強くなります。食事の量を適度に抑え、小分けに食べるのも一つの方法です。

注意点・よくある間違い

糖質を極端に減らすのは逆効果
糖質を極端に制限すると、低血糖状態になりやすく、エネルギー不足により集中力や作業効率が低下します。また、適度な糖質は神経伝達物質の合成にも必要なため、過度な制限はかえって体調不良を招く可能性があります。
コーヒーを飲みすぎると逆効果
カフェインは一時的に眠気を抑える効果がありますが、過剰摂取すると血糖値の変動を引き起こし、逆に疲労感を増すことがあります。また、夕方以降に摂取すると、夜の睡眠の質を低下させ、翌日の眠気を引き起こす原因になることもあります。
食事の摂り方を間違えると逆効果
食事を早食いすると、血糖値が急激に上昇しやすく、その後の急降下によって眠気が強くなる可能性があります。また、一度に大量の食事を摂ると消化に負担がかかり、眠気を助長するため、ゆっくりとよく噛んで食べることが大切です。