たんぱく質は小腸でアミノ酸まで分解されますが、そのアミノ酸はどのように体内へ吸収されるのでしょうか?
主役は“小腸の絨毛(じゅうもう)”。
本記事では、絨毛の構造とアミノ酸吸収の精密な仕組み、そして管理栄養士の視点で吸収効率を高めるポイントをお伝えします。
小腸絨毛とは?――“吸収率UP”の秘密兵器
- 小腸の内側には、絨毛(じゅうもう)という無数の突起がびっしり生えています。
- この絨毛によって小腸の表面積は約200㎡(テニスコート1面分)にもなり、一度にたくさんの栄養素を吸収できる仕組みになっています。
- 絨毛の中には毛細血管やリンパ管があり、吸収した栄養素を全身に送り出します。
アミノ酸吸収のメカニズム
- 絨毛表面の上皮細胞には、「アミノ酸トランスポーター」という輸送たんぱく質があり、アミノ酸やジペプチド・トリペプチドを積極的に取り込みます。
- 吸収にはナトリウムイオンやエネルギー(ATP)も使い、“能動輸送”や“拡散”によって細胞内へ。
- ジペプチド・トリペプチドは細胞内でさらにアミノ酸に分解され、最終的に血管へ送られます。
科学的トピック
小腸絨毛でのアミノ酸吸収は、SLCファミリーなどの輸送担体によって厳密にコントロールされています。
吸収の種類や効率はアミノ酸ごとに異なり、必要量や体内の状況に応じて変化します。
管理栄養士の視点
吸収不良が起こると、未消化たんぱく質が大腸に送られ腸内環境の悪化や栄養不足の一因となるため、腸ケアや腸の健康を意識することもとても重要です。
エビデンス解説
最新研究では、腸内環境の良し悪しがアミノ酸の吸収効率にも関係することが示されています(J Nutr Biochem 2022)。
発酵食品や食物繊維を積極的にとることで、腸内細菌叢が整い、栄養素の吸収効率が向上する可能性があります。
吸収効率を高める食事・生活のコツ
- 腸内環境を整える
→ 発酵食品・食物繊維を意識し、善玉菌を増やす。 - “空腹時”より“食後”は吸収力UP
→ 食べる前に温かい飲み物やスープで腸を温めるのも効果的。 - 早食いせず、よく噛むこと
→ 消化液・酵素の分泌が十分に出て、絨毛での吸収もスムーズに。 - 下痢・便秘の改善も大切
→ 腸のコンディションが悪いと吸収効率も落ちやすい。
まとめ
小腸絨毛は、たんぱく質から分解されたアミノ酸を“体のすみずみ”まで届けるための大切な通路です。
腸内環境や生活習慣を見直すことで、より効率よく栄養を吸収できる体を目指しましょう。
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