脂質＝悪ではない！健康に欠かせない「良い脂質」とは？

「脂質＝太る」「脂質は健康に悪い」と思っていませんか？実は、脂質は私たちの体にとって欠かせない栄養素の一つです。もちろん、摂りすぎや質の悪い脂質の摂取は健康リスクを高めますが、適切に選べばむしろ健康をサポートしてくれるのです。本記事では、健康に欠かせない「良い脂質」について解説し、どのように食生活に取り入れるべきかをお伝えします。

1. 脂質の基本知識

脂質は三大栄養素の一つであり、炭水化物やタンパク質とともに、エネルギー源として重要な役割を果たします。1gあたり9kcalのエネルギーを供給し、体内でのエネルギー貯蔵や細胞膜の形成、ホルモンの合成にも関与しています。また、脂溶性ビタミン（A・D・E・K）の吸収を助けるため、適量を摂取することが必要です。

脂質には以下の種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

飽和脂肪酸：
- 主に動物性食品（バター、ラード、牛肉、豚肉の脂身）や一部の植物油（ココナッツオイル、パーム油）に含まれます。
- 過剰に摂取するとLDL（悪玉）コレステロールを増加させ、心血管疾患のリスクを高める可能性があります。
- しかし、適量の摂取は細胞膜の安定性を保つために重要です。
不飽和脂肪酸：
- 一価不飽和脂肪酸（オメガ9）：オリーブオイル、アボカド、ナッツ類に多く含まれ、心臓病のリスクを低減する可能性があります。
- 多価不飽和脂肪酸にはオメガ3（DHA・EPA・αリノレン酸）とオメガ6（リノール酸）があります。
  - オメガ3（青魚、亜麻仁油、えごま油）：抗炎症作用があり、脳や心血管の健康をサポートします。
  - オメガ6（ごま油、大豆油、ひまわり油）：細胞の成長や免疫機能に関与しますが、摂りすぎると炎症を促進する可能性があるため、バランスが重要です。
トランス脂肪酸：
- 工業的に生成された部分水素添加油に多く含まれ、マーガリン、ショートニング、揚げ物、スナック菓子などに使用されています。
- 悪玉コレステロール（LDL）を増加させ、善玉コレステロール（HDL）を減少させるため、心血管疾患のリスクが高まるとされています。
- 世界保健機関（WHO）はトランス脂肪酸の摂取を極力避けるよう推奨しています。