暑い日が続くと、なんとなく体がだるい、やる気が出ない、食欲も落ちてしまう…。
そんな“夏バテ”の症状を感じていませんか?
夏バテは「ただの気のせい」ではなく、体の中でさまざまな変化が起きているサインです。
この記事では、自律神経とミネラルバランスという2つの視点から、夏バテの原因と対策を管理栄養士の立場でわかりやすく解説します。
夏バテのメカニズム ― 体内で起きていること
夏バテの背景には、主に「自律神経の乱れ」と「ミネラルバランスの崩れ」があります。
● 自律神経の負担
夏は外気温とエアコンによる温度差が大きく、体の自律神経は絶えず体温調節を繰り返しています。
実際に、「5℃以上の急な温度変化は、自律神経の働きを乱す要因となる」(日本自律神経学会 2021年)という報告があります。
この負担が重なると、体がだるい・寝ても疲れが取れないなどの不調が出やすくなります。
● ミネラルバランスの崩れ
汗には、水分と一緒にナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウムなどの電解質(ミネラル)が含まれています。
発汗量が多いと、体内のミネラルが不足し、筋肉や神経の働きに影響を及ぼします。
専門ポイント:
- ナトリウム(塩分)は、1日あたり男性7.5g未満・女性6.5g未満が推奨量(日本人の食事摂取基準2025年版)ですが、汗を大量にかくと追加補給が必要な場合も。
- カリウムは、筋肉の収縮・神経伝達に不可欠で、不足すると脚のつりや脱力感の原因に。
● 胃腸機能の低下
冷たい飲食物をとりすぎると、胃腸の血流が悪くなり、消化・吸収力が下がります。栄養補給がうまくいかないことで、慢性的なだるさやエネルギー不足に陥ることも。
補足:
- 一度に多量の冷たいものを飲むと、胃の働きが20%以上低下するというデータもあります。
管理栄養士がすすめる夏バテ対策のポイント
1. 生活リズムの安定
自律神経の働きを保つためには、できるだけ決まった時間に寝起きし、規則正しい生活を心がけましょう。夜更かしや不規則な食事は、自律神経の負担を増やします。
2. 水分とミネラルの補給
のどが渇く前にこまめな水分補給を。発汗量が多い日は、塩分やカリウムも意識してとりましょう。
スポーツドリンクや経口補水液、みそ汁や野菜スープも活用できます。特に汗をかいた日は、みそ汁・梅干し・野菜スープで塩分やカリウムも補給しましょう。
「水だけ」よりもミネラルが含まれる飲み物の方が、熱中症や夏バテ予防に有効
3. 食事バランスと胃腸ケア
主食・主菜・副菜を意識し、特に良質なたんぱく質と野菜を積極的に。胃腸が弱っているときは、冷たいものより常温や温かい料理を。消化のいいメニューを選ぶのもポイントです。
4. 温度差のストレス対策
冷房は設定温度を下げすぎないこと。外出時には羽織れるものを持ち歩き、体温調節しやすくすることが、自律神経の安定につながります。
そのほかにも
・ 朝食を抜かない
朝ごはんをしっかり食べると、自律神経のリズムが整いやすくなります。「朝食摂取群は夏バテ症状の訴えが少ない」(東京医科歯科大学 2020年調査)という報告もあります。
おすすめ:ごはん+卵+みそ汁など、バランスよく
・ 冷たい飲み物・食べ物は控えめに
暑い日でも、できれば常温~ぬるめの飲み物、または温かい汁物を1日1回取り入れて胃腸をいたわりましょう。
「冷たいものを1日3回以上とると、胃腸の不調リスクが1.8倍」(健康日本21 中間評価 2023年)
まとめ
夏バテは体が発している「ちょっとした危険信号」です。
夏バテは「体がSOSを出している」サイン。エビデンスのあるシンプルなセルフケアを続けることで、誰でも“夏のだるさ”は乗り切れます。
自律神経とミネラルバランスの仕組みを知ることで、正しいセルフケアが見えてきます。日々の小さな意識で、夏の不調を防ぎましょう。
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