小腸絨毛で吸収されたアミノ酸は、すぐに体のパーツになるわけではありません。
この後「肝臓」を経由して全身に届けられ、それぞれの細胞で“必要なもの”へと作り変えられます。
この記事では、アミノ酸の体内輸送の流れと、肝臓が果たす“調整役”の重要性を解説します。
吸収されたアミノ酸はまず“肝臓”へ
- 小腸の絨毛で吸収されたアミノ酸は、門脈という血管を通って肝臓へ運ばれます。
- 肝臓は“体の栄養管理センター”。ここでアミノ酸のバランスを整え、「必要なものは血液で全身へ」「余剰分は一部分解やエネルギー源へ」と振り分けられます。
- 肝臓は、アミノ酸からアルブミン(血液たんぱく)や酵素、ホルモン前駆体なども合成します。
科学的トピック
肝臓ではアミノ酸の「アミノ酸プール」管理が行われます。これは、体中の細胞で使える“アミノ酸の貯蔵庫”のようなもの。
肝臓はここから必要な時に適切な種類・量を供給し、不要なアミノ酸は脱アミノ化・尿素回路で無毒化して排泄されます。
管理栄養士の視点
肝臓の健康状態が悪い(脂肪肝、肝機能障害など)と、アミノ酸バランスが乱れやすく、全身へのたんぱく質供給が滞ることも。
お酒の飲みすぎや栄養バランスの偏りに注意し、肝臓のケアも意識しましょう。
エビデンス解説
「肝疾患患者では、アミノ酸のプールや供給バランスの異常が起きやすく、筋肉量や免疫力の低下につながる」(Hepatology International 2020)。
また、肝臓がしっかり働いていると、体内の“たんぱく質リサイクル”効率が高まることも複数の研究で示されています。
アミノ酸は全身の細胞へ運ばれる
- 肝臓を経たアミノ酸は、血液を通じて筋肉、肌、内臓、脳、ホルモン合成部位など体中に届けられます。
- 各細胞は、必要なタイミング・量だけアミノ酸を取り込み、新しい細胞や組織の材料として再合成します。
- 必要以上のアミノ酸は分解され、エネルギー源として利用されることも(糖新生など)。
アミノ酸の効率的な利用のためにできること
- 食事でのたんぱく質バランスを意識
→ 偏った食品だけでなく、いろいろな食品を組み合わせてアミノ酸プールを豊かに保つ。 - 肝臓に負担をかけすぎない生活
→ 過剰な飲酒、脂っこい食事、無理なダイエットは避ける。 - ビタミンB群や抗酸化ビタミンも一緒に
→ 肝臓の代謝や解毒をサポート。特にB6・B12・葉酸・ビタミンC/Eなど。
まとめ
吸収されたアミノ酸は、まず肝臓で“管理・調整”されてから全身へ。
肝臓がしっかり働くことで、筋肉や肌、臓器、酵素、ホルモンなど体のすべての材料として効率よく利用されます。
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