「最近、昔より太りやすくなった気がする」「食べていないのに体重が減らない」
――そんな悩み、年齢を重ねるとよく聞きます。
よく言われる“代謝の低下”ですが、実際に体の中でどんな変化が起こっているか知っていますか?
この記事では、年齢とともに代謝が落ちる理由を管理栄養士の視点からわかりやすく解説し、今日からできる見直しポイントを提案します。
代謝とは?体のエネルギー工場の働き
代謝とは、食べたものをエネルギーに変えたり、体をつくったり、不要なものを分解して外に出したりする体のすべての化学反応のことです。
その中でも「基礎代謝」は、何もしていなくても(呼吸・心臓・体温維持など)消費されるエネルギー。
基礎代謝量は、1日の消費エネルギーの約60%を占めるともいわれています。
なぜ年齢とともに代謝が落ちるのか?
● 筋肉量の減少(サルコペニア)
年齢を重ねると自然に筋肉が減りやすくなります。
筋肉はエネルギーをたくさん使う“代謝のエンジン”なので、筋肉が減ると消費エネルギーもダウン。
特に40代以降は1年で約0.5~1%ずつ筋肉量が減少するというデータも(Gerontology 2022)。
● ホルモンバランスの変化
成長ホルモンや性ホルモン(エストロゲン・テストステロン)は、筋肉の維持や脂肪燃焼に関わっています。
年齢とともにこれらのホルモン分泌が減ると、体脂肪がつきやすくなったり、筋肉がつきにくくなります。
特に女性は更年期以降、エストロゲンの減少で“内臓脂肪が増えやすい”ことが報告されています。
● ミトコンドリアの老化
エネルギーを生み出す「ミトコンドリア」は、加齢や生活習慣の影響でその数や働きが低下していきます。
ミトコンドリアが元気をなくすと、細胞レベルでのエネルギー産生も落ちてしまいます。
● 活動量の減少
年齢とともに歩く量や活動量も減りがちになり、その分消費エネルギーも減ってしまいます。
管理栄養士がすすめる「代謝ダウン」対策ポイント
- たんぱく質を毎食意識してとる
筋肉を保つには、食事からのたんぱく質が不可欠。
魚・肉・卵・大豆製品などを「毎食」1品はプラスするのが理想です。
目安は「体重1kgあたり1.0g以上」を意識しましょう。 - ミトコンドリアを元気に保つ食事
ビタミンB群(豚肉、納豆、玄米)、鉄分(レバー、小松菜)など、代謝の回路を回す栄養素を意識。
ポリフェノールや抗酸化ビタミン(ビタミンC・E)はミトコンドリアの老化予防にも役立ちます。 - 軽い筋トレや“ながら運動”で筋肉キープ
階段を使う、スクワットを1日10回、座ったままつま先上げ、など日常でできる“プチ運動”を習慣に。 - 体を冷やさない温活習慣
体温が1℃下がると基礎代謝が約12%低下するという研究も(日本体力医学会 2021)。
温かい食事やお風呂、ストレッチで体をあたためましょう。 - しっかり寝て、ストレスをためない
睡眠やストレスも、ホルモンバランスや代謝に大きく関わります。
夜更かし・睡眠不足は、代謝をさらに低下させてしまいます。
まとめ
「年齢のせい」とあきらめず、体の仕組みを知って“食事・運動・温活・睡眠”を少し見直すだけで、代謝はしっかり守れます。
小さな習慣の積み重ねが、健康的な体と代謝維持のカギです。
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