「たんぱく質をしっかりとりましょう」とよく言われますが、そもそも“たんぱく質”とは何なのでしょうか?
この記事では、たんぱく質の正体や、私たちの体で果たしている役割、どんな食品に多く含まれているのかなどを、管理栄養士の視点からやさしく解説します。
たんぱく質は“アミノ酸の鎖”
- たんぱく質(プロテイン)は、20種類の「アミノ酸」が鎖のようにつながった大きな分子です。
- アミノ酸が“数十個〜数万個”連結して、さまざまな形や働きのたんぱく質が作られます。
- 例:筋肉・臓器・酵素・ホルモン・抗体・髪・肌・爪…体のほとんどがたんぱく質でできている!
◆ コラム
人の体重の約16〜20%がたんぱく質!
体の細胞や組織を支える“基本材料”です。
必須アミノ酸と非必須アミノ酸
- アミノ酸は「必須アミノ酸(9種類)」と「非必須アミノ酸(11種類)」に分けられます。
- 必須アミノ酸:体で作れないので食事からとる必要がある(例:ロイシン、リジン、バリン、スレオニンなど)
- 非必須アミノ酸:体内で他のアミノ酸から合成できる
- 必須アミノ酸が1つでも足りないと、筋肉や肌、酵素などの合成がスムーズにいかなくなる
【ヒトのたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸】
◆ 必須アミノ酸(9種類)
※「体内で合成できないため、必ず食事からとる必要がある」
- バリン(Valine, Val)
- ロイシン(Leucine, Leu)
- イソロイシン(Isoleucine, Ile)
- リジン(Lysine, Lys)
- スレオニン(Threonine, Thr)
(=トレオニンとも呼ぶ) - メチオニン(Methionine, Met)
- フェニルアラニン(Phenylalanine, Phe)
- トリプトファン(Tryptophan, Trp)
- ヒスチジン(Histidine, His)
(※ヒスチジンは「成長期の子どもに特に必要」とされることも)
◆ 非必須アミノ酸(11種類)
※「体内で他のアミノ酸などから合成できる」
- アラニン(Alanine, Ala)
- アルギニン(Arginine, Arg)
(※成長期や特定条件下では“準必須アミノ酸”) - アスパラギン(Asparagine, Asn)
- アスパラギン酸(Aspartic acid, Asp)
- システイン(Cysteine, Cys)
(※メチオニンから合成される) - グルタミン(Glutamine, Gln)
(※条件によって必要性増すことも) - グルタミン酸(Glutamic acid, Glu)
- グリシン(Glycine, Gly)
- プロリン(Proline, Pro)
- セリン(Serine, Ser)
- チロシン(Tyrosine, Tyr)
(※フェニルアラニンから合成される)
たんぱく質の主な働き
- 体をつくる材料
筋肉、皮膚、髪、爪、臓器、骨など、体の組織の主要成分 - 酵素やホルモンの材料
消化酵素、インスリン、成長ホルモンなどもたんぱく質からできている - 免疫や代謝のサポート
抗体、血液のヘモグロビンもたんぱく質由来 - エネルギー源としても使われる(1g=約4kcal)
炭水化物や脂質が足りないときの補助的なエネルギー源
たんぱく質を多く含む食品
- 肉、魚、卵、乳製品、大豆製品(豆腐・納豆・高野豆腐など)は“高たんぱく食品”の代表
- 植物性たんぱく質(大豆など)も良いが、アミノ酸バランスを考えていろいろな食品を組み合わせるのが理想
- 「アミノ酸スコア」が高い食品は、体で効率的に利用されやすい
プチコラム:「プロテイン」と「たんぱく質」は同じ?
- 「プロテイン=たんぱく質」を英語で呼んだだけ
- 市販の「プロテインパウダー」は、乳や大豆などのたんぱく質を抽出・濃縮した健康食品
まとめ
たんぱく質は、20種類のアミノ酸からできており、体のすべての材料・機能の元となっています。毎日の食事でバランスよくとることで、健康な体づくりを内側からサポートできます。
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