「肌のためにハーブティーを飲み始めた」
「どれを選べばいいかわからない」。そんな声をよく聞きます。
ハーブティーには、リラックス作用や抗酸化成分を含むものが多く、日常の飲み物として取り入れやすい選択肢のひとつです。ただし、「これを飲めば肌が変わる」というものではありません。
大切なのは、何を期待して飲むか。そして、自分の状態や体質に合うものを選ぶことです。
この記事では、よく知られたハーブティーの特徴を整理しながら、管理栄養士として気をつけてほしいポイントをお伝えします。
□ 肌のためにハーブティーを取り入れたい
□ どのハーブティーを選べばいいか迷っている
□ カフェインを控えたい・夜の飲み物を探している
□ ハーブティーの飲みすぎが気になっている
ハーブティーは本当に肌に良いのか
ハーブティーには、植物由来のポリフェノールやフラボノイドといった抗酸化成分が含まれているものがあります。
抗酸化成分は体内の酸化ストレスを和らげる可能性があり、食事全体の中で意識したい栄養素のひとつです。
ただし、ハーブティー1杯に含まれる成分量は少なく、「飲めば肌が変わる」というほどの効果を期待するのは難しいのが実情です。
ハーブティーの役割として現実的なのは以下の2点です。
・水分補給として:カフェインを含まないハーブティーは、コーヒーや緑茶の代わりとして水分補給に使いやすい
・リラックスの習慣として:就寝前の温かい飲み物として、睡眠の質を整えるルーティンの一部になる
睡眠の質が整うことで成長ホルモンの分泌が促され、肌の修復が進みやすくなる可能性があります。
「ハーブティーが直接肌に効く」のではなく、「リラックスと睡眠を通じて間接的に肌のコンディションを整えやすくする」というイメージが正確です。
管理栄養士として見る、ハーブティーのよくある誤解
ハーブティーは「薬」ではなく「飲み物」です。
特定のハーブが特定の症状を治すという考え方は、 食品としての範囲を超えている場合があります。 飲みやすく、カフェインを控えたい時の選択肢として使うのは良いことですが、 「肌荒れの治療」や「薬の代わり」として期待するのは難しいです。
あくまで食事・睡眠・生活習慣の一部として取り入れる、 という視点が大切です。
誤解1:「ハーブティーは体に良いから大量に飲んでいい」
ハーブティーは天然成分由来ですが、飲みすぎることで体に影響が出るものもあります。特定のハーブを大量・長期間飲み続けることで、肝臓への負担や、薬との相互作用が起きる可能性が一部のハーブで報告されています。
また、妊娠中・授乳中の方は避けた方が良いハーブもあります(後述)。
1日2〜3杯程度を目安に、複数の種類をローテーションしながら飲むことが無理なく続けやすい方法です。
誤解2:「ハーブティーはすべてノンカフェイン」
多くのハーブティーはノンカフェインですが、マテ茶・ガラナは例外で、カフェインを含みます。「ハーブティーだからカフェインゼロ」と思い込んで夜に飲むと、睡眠に影響することがあります。購入時にカフェインの有無を確認する習慣をつけましょう。
よく知られたハーブティーの特徴
以下は、よく見かけるハーブティーの主な特徴です。「効果がある」ではなく「含まれる成分と特徴」として参考にしてください。
| ハーブティー | 主な成分・特徴 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| カモミール | アピゲニン(フラボノイド)を含む。リラックス作用が知られている | キク科アレルギーの方は注意 |
| ルイボス | 抗酸化成分(アスパラチン)を含む。ノンカフェイン | 飲みすぎによる影響は少ないが過度な大量摂取は避ける |
| ローズヒップ | ビタミンCを含む。ただし加熱で一部失われる可能性がある | 酸味が強いため胃が弱い方は注意 |
| ハイビスカス | アントシアニンを含む。酸味が特徴 | 鉄の吸収を妨げる可能性があるため、食事中は避けた方が良い |
| ペパーミント | メントールを含む。清涼感がある | 逆流性食道炎がある方は悪化する可能性がある |
| エルダーフラワー | フラボノイドを含む。すっきりした風味 | 妊娠中は避けた方が無難 |
| ジンジャー | ジンゲロールを含む。体を温める作用が知られている | 大量摂取で胃腸への刺激になることがある |
妊娠中・授乳中の方が避けた方が良いハーブ
一部のハーブは、妊娠中・授乳中に飲むことで胎児や赤ちゃんに影響する可能性があるとされています。
・セージ(子宮収縮作用が報告されている)
・ペニーロイヤル(子宮収縮・流産リスクが報告されている)
・エキナセア(免疫への影響が不明な点がある)
・リコリス(大量摂取で早産リスクの可能性が指摘されている)
不安な場合は、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
カモミール・ルイボス・ジンジャーは一般的に少量であれば問題が少ないとされていますが、 妊娠中はできるだけ慎重に選ぶことをおすすめします。
服薬中の方が気をつけたいこと
一部のハーブは、医薬品との相互作用が報告されています。
- セントジョーンズワート:抗うつ薬・避妊薬・血液をサラサラにする薬などとの相互作用が複数報告されており、日本では医薬品との飲み合わせに注意が必要とされています
- ハイビスカス:一部の降圧薬との相互作用の可能性が報告されています
- ジンジャー:血液凝固に関わる薬との相互作用の可能性があります
処方薬を飲んでいる方は、新しいハーブティーを始める前に医師・薬剤師に確認することをおすすめします。
飲み方で気をつけたいこと
淹れ方
熱いお湯で長時間蒸らしすぎると、成分が変質したり苦みが出たりすることがあります。パッケージの推奨時間を守ることが基本です。
保存
開封後のハーブティーは湿気・光・高温に弱く、劣化が早いです。密閉容器に入れ、冷暗所で保存し、開封後は早めに使い切ることをおすすめします。
温度
冷たいハーブティーは胃腸への刺激が少なく飲みやすいですが、就寝前のリラックス目的なら温かい方が体を落ち着かせやすいとされています。
まとめ|ハーブティーは「食事と睡眠の補助」として
ハーブティーは「飲めば肌が変わる」ものではありませんが、カフェインを控えたい時の水分補給として、就寝前のリラックスルーティンとして、食事と睡眠を整える補助的な役割として取り入れることができます。
種類によっては妊娠中・服薬中の方に注意が必要なものもあるため、自分の体の状態に合わせて選ぶことが大切です。
「どれが一番肌に効くか」を探すより、続けやすく、自分が心地よく感じるものを選ぶことが、長く取り入れやすい習慣につながります。
GROW編集部として、このテーマを扱う理由
GROWでは「これを飲めば美肌になる」という情報を届けるのではなく、読者が自分に合った選択をするための情報を届けることを大切にしています。
ハーブティーは選択肢が多く、情報もさまざまです。だからこそ、管理栄養士の視点から注意点も含めて正直に整理する記事が必要だと考えました。今後も、食と栄養に関するテーマを専門家の視点から丁寧に届けていければと思っています。
【監修者プロフィール】
中村逹也|管理栄養士・GROW編集部
管理栄養士として食と健康に関する知識を持ちながら、GROWでは人の想いや専門性を言葉にする編集活動を行う。専門家や事業者の知見を、読者に届く記事として残していくことを大切にしている。
【GROW編集部コメント】
「どのハーブティーが肌に効くか」より「自分の体の状態に合うものを選ぶ」ことが大切です。この記事が、ハーブティーを正しく理解して取り入れるきっかけになれば嬉しいです。
【参考文献】
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025年版」
・文部科学省「食品成分データベース」
・厚生労働省 e-ヘルスネット「ハーブティーと健康」
・European Medicines Agency(EMA)各種ハーブのモノグラフ

