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熊本地震 避難所生活が始まった方へ。今すぐできる食事と水分の話

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避難生活では、食事や水分のことを後回しにしてしまいがちです。でも、食べることと飲むことは、体と心を支える大切な土台です。

この記事では、管理栄養士として、避難生活の中で今すぐできる食事と水分の整え方をお伝えします。完璧にやろうとしなくて大丈夫です。できることから、少しずつ。

この記事を読んでほしい方

  • 避難所や車中泊で生活されている方
  • 家族や周りの方の体調が心配な方
  • 支援に関わる栄養士・ボランティアの方
  • 平時からの備えを見直したい方

夏の避難生活で特に気をつけたいこと

夏場の熊本は気温が高く、体育館や車中泊では室内がかなり暑くなります。暑い環境では、気づかないうちに汗で水分が出ていきます。

「のどが渇いてから飲む」では遅いということを覚えておいてください。のどの渇きを感じた時点で、すでに体の水分は不足し始めています。

特に高齢の方は暑さや渇きを感じにくくなっていることがあります。周りにいる方が声をかけながら、一緒に水分を摂るようにしてください。

トイレに行った時に尿の色を確認してみてください。

水分不足のサインを確認しよう

  • 薄い黄色 → 水分は足りています
  • 濃い黄色・茶色 → 水分が不足しているサインです
  • ほとんど出ない → 早めに水分を補給してください

こまめに少量ずつ飲むことが大切です。

まず、水分をとってください

避難生活で最も気をつけてほしいことが「脱水」です。

トイレの数が少ない、臭いが気になる、夜間の移動が不安——こうした理由から、水を飲む量を自分で減らしてしまう方がいます。特に高齢の方や女性に多く見られます。

目安として、1日1.5〜2リットルの水分をとることを意識してください。お茶や汁物でも構いません。

どの飲み物をいつ飲む?

飲み物によって役割が違います。緑茶やコーヒーはカフェインを含むため、水分補給としてはあまり向きません。水や麦茶をメインにしてください。

飲み物使うタイミング
水・麦茶普段の水分補給に。カフェインがなく体に優しい
スポーツドリンク屋外での作業や暑い中での活動前後。熱中症の予防に
経口補水液(OS-1など)めまい・こむら返り・口のネバつきなど症状が出た時

脱水に気づくサイン

「のどが渇いた」と感じた時には、すでに体の水分は不足し始めています。以下のサインが出ていたら早めに水分を補給してください。

こんな症状が出たら水分不足のサインです

  • 立ち上がった時にふらつく・めまいがする
  • 足がつる(こむら返り)
  • 口の中がネバネバする
  • 尿の色が濃い黄色・オレンジ色になっている
  • 経口補水液を飲んでみて「甘い」「おいしい」と感じる(塩辛く感じないのは体が塩分を必要としているサインです)

経口補水液は一気に飲まない

経口補水液は症状が出た時に使うものです。予防目的でがぶ飲みするものではありません。

一気に飲むとかえって気持ち悪くなることがあります。5〜10分ごとにコップ半杯程度(50〜100ml)をゆっくり飲むことが大切です。

腎臓病・高血圧・心臓の病気がある方は、経口補水液に塩分とカリウムが多く含まれるため、医療スタッフに相談してから飲むようにしてください。

経口補水液が手に入らない時は

市販の経口補水液やスポーツドリンクがない場合は、以下のレシピで作ることもできます。

自家製経口補水液の作り方(参考)

【500ml分】

  • 水 500ml
  • 食塩 ひとつまみ強(約1.5g)
  • 砂糖 大さじ2(約20g)
  • レモン果汁 少々(あれば)

【計量器具がない時】

  • 水 500ml
  • 食塩 ペットボトルのキャップ1杯
  • 砂糖 ペットボトルのキャップ4杯

よく混ぜて、少量ずつ飲む。作ったその日のうちに飲み切る。

食事がおにぎりやパンだけになっている時

避難所や支援物資では、おにぎり・パン・カップ麺など炭水化物中心の食事が続きやすくなります。これは仕方のないことですが、できることを少し意識するだけで体への負担が減ります。

炭水化物をエネルギーに変えるにはビタミンB1が必要です。ビタミンB1が不足すると、だるさ・疲れ・気力の低下・食欲不振が出やすくなります。

味に飽きてきた時は、ふりかけ・ポン酢・ラー油などの調味料があると、食欲が出やすくなります。

補食として役立つもの

たんぱく質を補う

  • サバ缶・ツナ缶・やきとり缶
  • ロングライフ牛乳・チーズ
  • プロテインバー

ビタミン・ミネラルを補う

  • 野菜ジュース(100%のもの)
  • ドライフルーツ・ゼリー飲料
  • ナッツ類

心と体を支える

  • チョコレート・ビスケット・ようかん(甘いものはエネルギーになり、精神的なストレスを和らげます)

食欲がない・何も食べたくない時は

緊張や疲れ、環境の変化で食欲が落ちることは自然なことです。無理に食べようとしなくても大丈夫です。

そんな時は、食べるより先に飲むことを意識してください。温かい汁物や甘い飲み物(ゼリー飲料・スポーツドリンクなど)は、胃への負担が少なく、体にエネルギーを届けやすくなります。

少し落ち着いてきたら、消化が良くて食べやすいものから始めましょう。

食欲がない時に食べやすいもの

  • ゼリー飲料・スポーツドリンク
  • ようかん・あめ・キャンディ
  • 柔らかいパン・お粥
  • 汁物(インスタント味噌汁・スープ)
  • 果物の缶詰

「おいしい」と感じるものを少しずつ。それで十分です。

口の中のケアも忘れないでください

水が少ない状況では、歯磨きが後回しになりがちです。でも、口の中を清潔に保つことは、感染症予防と誤嚥性肺炎の予防に直結します。特に高齢の方は注意が必要です。

水が少ない時の口腔ケア

  • 少量の水を口に含み、大きく動かして吐き出す(ぶくぶくうがい)
  • 液体ハミガキ(洗口液)を使う(すすぎ不要のものが便利)
  • 歯ブラシを少し濡らして磨き、ティッシュで汚れをふき取る
  • 歯ブラシがない場合は、清潔な布やウエットティッシュで歯と歯ぐきをふく

特に気をつけてほしい方

赤ちゃん・授乳中の方

授乳中は普段より多くの水分が必要です。食事が少なくても、水分だけは意識して摂るようにしてください。

高齢の方

硬いおにぎりや乾パンがのどに詰まりやすいと感じる場合は、汁物やお茶に浸して柔らかくしてから食べる工夫が助けになります。

持病がある方(糖尿病・高血圧・腎臓病・透析など)

カップ麺や塩分の多い食事が続くと体への負担が大きくなります。できる範囲で減塩のものを選びつつ、医療チームや保健師への相談を優先してください。避難所には保健師や医療スタッフが入っている場合があります。

食物アレルギーがある方

炊き出しや支援物資を受け取る前に、スタッフに「アレルギーがあります」と伝えてください。確認してから受け取ることが大切です。

平時からできる備え(ローリングストック)

この機会に、日頃の備えを見直しておくことをおすすめします。

ローリングストックとは、普段から非常食を少し多めに買い置きし、食べたら補充するサイクルを続ける方法です。賞味期限切れを防ぎながら、常に備蓄を維持できます。

カセットコンロとカセットボンベも必ず用意しておきましょう。温かい食事は、体だけでなく気持ちを支えてくれます。

カテゴリ具体例
飲料水ペットボトル水(1人1日3L目安)
主食パックご飯・アルファ化米・缶詰パン
主菜サバ缶・ツナ缶・レトルトカレー
副菜野菜ジュース・フリーズドライ味噌汁・乾燥野菜
補食ようかん・ナッツ・ゼリー飲料・チョコレート
調味料ふりかけ・ポン酢・使い切り調味料

パッククッキングという調理法も覚えておくと役立ちます。高密度ポリエチレン(HDPE)製のポリ袋に食材を入れ、湯せんで加熱する方法で、調理に使う水を飲用水にしなくていいため節水になり、食器も不要なため感染症予防にもなります。

GROW編集部として、このテーマを扱う理由

GROWは熊本を拠点とするメディアです。今回の地震で被災された方に、少しでも役立つ情報をお届けしたいと思い、この記事を書きました。

管理栄養士として伝えられることを、できるだけ分かりやすく、今すぐ使える形でまとめました。被災された皆さんの安全と、一日も早い生活の回復を願っています。

今後も、支援の現場で役立つ情報があれば、随時更新・発信していきます。

執筆者について

中村逹也

管理栄養士・GROW編集部

管理栄養士として食と健康に関する知識を持ちながら、GROWでは人の想いや専門性を言葉にする編集活動を行う。熊本在住。専門家や事業者の知見を、読者に届く記事として残していくことを大切にしている。

参考文献

  • 厚生労働省「日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)」
  • 日本栄養士会「災害時の食事について」
  • 内閣府「避難生活における健康管理について」
  • 令和8年熊本地震に関する各省庁情報(随時更新)
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