インタビューケアセラピー九州・沖縄

自分を後回しにし続けた看護師が、病気をきっかけに気づいたこと。「整える」を仕事にするまで。【ponoa nurse salon 代表 宮前  理沙】

インタビュー

この記事の見どころ

⭐️「看護師さんは、もうすぐ死ぬ僕の気持ちが分かりますか?」

  • 2年目で受けた言葉が、今も看護の原点に 10代の患者さんから受け取ったその一言が、ずっと心に残り続けている。処置をこなすだけだった自分を振り返り、「その人に本当に関心を持つこと」を大切にするようになった原点の話。

⭐️ 自分を後回しにし続けた看護師が、病気で初めて自分の体と向き合った

  • 体の不調を感じながらも”まだ大丈夫”と走り続けた結果、日常生活も困難な状態に。「病気になって初めて立ち止まれた」その経験が、病気になる前の段階でケアするサロン開業につながった。

⭐️ 看取りの場面で感じた「何かしてあげたい」

  • リンパを選んだ理由 病棟で看取りを経験するたびに、リンパやアロマへの関心が芽生えていた。仕事の忙しさで踏み込めなかったその思いが、自身の病気をきっかけについに形になった。

⭐️ 医療と日常の間を埋める存在

  • 「不調が病気につながらないように」の一貫した哲学 病院に行くほどではないけれど辛い。そのグレーゾーンに看護師の視点でアプローチし、自分で体を整えられる力を育てることを大切にしている。

⭐️ 子どもへの関わりと、親子まるごとケアという次の夢

  • 大人の不調の背景には、子どもの頃からの心と体の状態が続いていると感じ始めている。親が整うことで子どもにも伝わる。そんな親子まるごとのサポートへの展望。

Interview

「不調は我慢するものではなく、整えていけるものだと思っています」。

熊本・戸島西で完全予約制の自宅サロン「ponoa nurse salon」を営む宮前 理沙(みやまえ・りさ)さんは、そう話す。看護師として18年のキャリアを持ち、自身の病気体験と病棟での看取りの経験から、病院に行くほどではないけれど辛い。そのグレーゾーンにいる人たちに寄り添うサロンを開業した。「内側が巡れば外側も変わる」をコンセプトに、オールハンドの施術で心と脳と体の調和を目指している。医療系リンパドレナージュと脳ヘッドスパを柱に、薬に頼らず自分で健康を守れる体を育てることを理念に据えている。宮前 理沙さんにインタビューしました!

中村

現在の活動内容と、どんな方が来られているか教えてください。

宮前さん

看護師の経験を生かして、未病ケア専門サロン「ponoa nurse salon」として医療系リンパドレナージュと脳ヘッドスパを提供しています。
完全予約制の自宅サロンで、「病院に行くほどではないけれど辛い」という方々に向けて、医療と日常の間の存在として看護師の視点でサポートしています。
施術はすべてオールハンドで、心と脳と体の調和を目指しています。症状が出てからではなく、その手前で整えること。不調が病気につながらないように、繰り返さない体づくりをサポートすることを大切にしています。


年齢層は更年期世代の40代から50代が一番多くて、最高年齢は70代の方にも来ていただいています。不調で多いのは肩こり、首コリ、むくみ、便秘ですね。あとは眠りが浅い、体がとにかくだるいという、目に見えない不調を抱えている方が多いなという印象です。
デスクワークの方も多いですし、意外だったのが医療従事者の方がよく来られること。自分も看護師をしていて不調をずっと後回しにしてきたので、同じように気づいてきてくれる方が多いのかなと感じています。

中村

このサロンを始めたきっかけと、開業に至るまでの流れを教えてください。

宮前さん

自分自身の病気が一番のきっかけでした。
両股関節の疾患や椎間板ヘルニアなどを経験して、日常生活も難しかった時期があります。痛みで思うように動けず、これまで当たり前にできていたことができないという現実に直面したのが、当時一番つらく感じていたことでした。

病気に至るまでにも、数年にわたって体調不良を抱えていたんですが、仕事の忙しさから立ち止まることができなくて、自分を後回しにして過ごしてきました。そんな中で病気になったことで、初めて自分の体と向き合う時間を持つことができたんです。
看護師としてこれからも働いていく中で、この病気が制限になっていくかもしれないと思い、大好きだった看護師の仕事を一旦離れようと決断しました。
その経験から、私がこれから関わるべき人は、病気になる前の段階の方だと強く感じてこのサロンを開業しました。リンパドレナージュや脳ヘッドスパを通して自分の体が整っていく実感があったことも、この道を選ぶ大きな後押しになりました。

中村

看護師を目指したきっかけと、リンパへの関心が生まれた経緯を教えてください。

宮前さん

 もともとは保育士になりたくて、子どもが好きだったんです。でもピアノが弾けなくて断念して(笑)。
子どもと関わるのは体力的にも大変で、でもおじいちゃん・おばあちゃんと話すのは疲れを感じなくて。そっちの方が自分に合ってるかなと思ったのと、母が看護師だったこともあって、人の役に立つことをという気持ちが中学生の頃からずっとあったんですよね。高校も看護専門の学校に進んで、そのまま看護師の道を歩んできました。

病棟で看取りを経験することが多くて、その場面で何もしてあげられないというか、忙しさや人手不足もあって、何かしてあげたいなと思っていた頃からリンパへの興味はあったんです。
亡くなる前の全身のむくみや、身の置き所のない苦痛、不安や恐怖心などに対して、何かケアができたらとアロマやリンパが気になっていました。
ただ仕事の忙しさからなかなか踏み込めずにいて。自分が病気になって、訪問看護に移ってリンパを提供できたら、もしかしたらまだ続けられるかもという葛藤の中で、リンパがもう一つの働く手段として出てきた感じです。

中村

仕事で大切にしていることや、お客さんとの関わりで心がけていることを教えてください。

宮前さん

一番は、看護師としての視点を生かして、お客さんの話の中から体の状態を読み取っていくこと
その時の状態や気分に合わせて、安心して過ごせる時間を作ることを大切にしています。不調を私が外から直すというのではなくて、お客様が本来持っている力を引き出すことで、自分らしい状態に戻っていただきたいという思いでサポートしています。
自分で整えられる体を一緒に作ることと、体を守る選択肢はいくつあっていい、その中から自分に合ったものを理解して納得して選べるようにサポートしたいと思っています。

私自身がそのお客さんに興味を持つこと、知りたいという思いがあることが相手にも伝わると思っていて、気持ちを吐き出しやすい環境ができていくと感じています。日々そこを大切にしています。

中村

これまでで特に大変だった経験や、今も心に残っている出来事を教えてください。

宮前さん

看護師2年目の時に、入脳腫瘍で入院してきた10代の患者さんがいらっしゃって。入院時は歩いて来られたんですが、進行が早くて数週間ほどで亡くなってしまいました。その方に言われた言葉が、ずっと残っています。病状が進行してきた頃に「看護師さんは、もうすぐ死ぬ僕の気持ちが分かりますか?」と言われたんです。
当時2年目で、抗がん剤や麻薬の取り扱いでもういっぱいいっぱいで。処置をするためにその方のところに行くだけになっていたんですよね。
命の重さと向き合うのが怖くて、自分で距離を置いていた部分があって。それが多分、本人にも伝わっていたんだろうなあって今なら分かります。「何のために看護師になったんだろう」「本当は何を求めているんだろう」というもどかしさや不甲斐なさが、ずっと残っていて。今だったら、ただ側にいて話を聞いてあげることができたと思うんですが、当時はできなかった。それが私の看護の原点になっています。

中村

活動を通じてどんな影響を与えていきたいか、また宮前さんにとって「健康」とはどういうものか教えてください。

宮前さん

自分の命とか気持ちを大切にして、自分で健康を守れる人を育てていきたいと思っています。
健康があってこその人生だと思っているので、健康寿命を延ばすことの大切さや、命や健康と向き合うきっかけを届けていけたらと思っています。「不調が当たり前」という日常から、快適に過ごせる日常へ向かうその過程を大切にしていきたい。お客様からも「そういえば不調がなくなってる」と言われることが増えてきていて、小さな気づきの積み重ねが大きな変化につながるんだと実感しています。

健康については、いろんな患者さんを診てきたので、病気がないことが一番だなとは思うんですが、自分が病気になって、自然には治らないということを経験した上で考えると……。心と体はつながっているから、心と体も安定していて、自分らしく過ごせる、生きられる状態が健康かなあ、と思います。

中村

これから挑戦したいことを教えてください。

宮前さん

サロンでの施術に加えて、セルフケアの発信や、日常の中でも実践できる未病ケアを広げていきたいと思っています。サロンを、病院と日常をつなぐ場所として、「ここに来れば安心できる」と思っていただける存在であり続けたい。

あと、最近感じているのが子どもへの関わりです。大人の不調の背景には、子どもの頃からの心と体の状態が延長しているなと感じることがあって、早い段階から整えられたらなと思っています。
お子さんを支える親が安心して休めることもとても大切で、親の心と体が整って笑顔で過ごせることが、そのまま子どもにも伝わると思っています。言葉にしにくい心の状態が体に出やすい子どもたちに対しても、施術や看護師の視点を生かしたケアと心のケアを組み合わせて、親子で整えられるサポートをしていけたらなと思っています。

中村

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

宮前さん

不調は我慢するものではなく、整えていけるものだと感じています。病院に行くほどではないけれど、なんとなく辛い。そんな状態のまま過ごしている方も多いのではないでしょうか。

まずは自分の体と向き合う時間を作ること、そして「少し楽かも」と感じる小さな変化を大切にしてほしいと思っています。体はきちんと答えてくれます。だからこそ、自分の体を信じてあげてほしいです。一人で頑張らなくても大丈夫です。安心して過ごせる場所としてお待ちしています。

宮前 理沙さん、インタビューにお答えいただきありがとうございました!
, , ,
スポンサーリンク