インタビュー九州・沖縄管理栄養士食

「食事から、何かが変わる」地域に寄り添う管理栄養士・鶴節子

インタビュー

この記事の見どころ

⭐️「まず、その人のことを知ること」——小さな一歩を一緒に考える栄養指導

  • 栄養の知識を一方的に伝えるのではなく、どんな生活をしてきたのか、何を大切にしているのかを聞く。すべてを変えるのではなく、「この方だったら、何ならできるだろう」という一つを一緒に見つける。鶴さんが地域の方に寄り添う栄養支援の基本姿勢。

⭐️祖父の透析と家族の食事——「食事を通して人を支える」仕事との出会い

  • 透析を受けていた祖父のために、栄養指導や料理教室で学んだことを生かして食事を作る祖母。その姿を通して感じた「食事を通して人を支える、いい仕事だな」という思いが、管理栄養士を目指す原点になった。

⭐️「分からなかったら、自分から動く」——総合病院で身につけた姿勢

  • 新卒で入職した総合病院では、分からないことがあれば大学に電話をし、他の病院へ見学をお願いした。透析、糖尿病、ホスピスなど幅広い医療に向き合う中で、自ら考え、動く姿勢を身につけた。

⭐️「またこの人に相談したい」と思ってもらえる関係をつくる

  • 高齢者の方には何十年という暮らしの積み重ねがある。正しいことを一方的に伝えるのではなく、食事だけでなく生活や大切にしていることにも目を向け、できそうな小さな一歩を一緒に探す。

⭐️地域の支援からトップアスリートの栄養サポートへ——2026年の新たな挑戦

  • 2026-27シーズン、東京サンロッカーズの専属栄養士へ挑戦する。地域の住民さんとトップアスリートという対象の違いを越えて、その人を知り、その人に必要なことを考え、食から支える姿勢を貫いていく。

Interview

熊本を拠点に、行政からの委託事業や医療機関での栄養指導、食育・離乳食支援、子どもの栄養指導などに携わり、健康運動指導士として栄養と運動を組み合わせた指導も行う管理栄養士・鶴節子さん。現在は合同会社ショクカラの代表として訪問事業「トータル栄養サポート」をはじめ、地域で暮らす方々の食と健康を支える活動を続けています。地域への栄養支援と、2026-27シーズンの東京サンロッカーズ専属栄養士への挑戦について伺いました。

中村

現在は、地域でどのような栄養支援に取り組んでいらっしゃるんですか?

鶴節子さん

熊本を拠点に、行政からの委託事業や医療機関での栄養指導、食育・離乳食支援、子どもの栄養指導などに携わっています。健康運動指導士として、栄養と運動を組み合わせた指導も行っています。

現在は合同会社ショクカラの代表として事業を運営しながら、訪問事業「トータル栄養サポート」をはじめ、地域で暮らす方々の食と健康を支える活動を続けています。

中村

管理栄養士を目指す原点には、どのようなご経験があったのでしょうか?

鶴節子さん

透析を受けていた祖父の存在が、管理栄養士を目指すきっかけの一つになりました。祖父が通院していた医療機関では透析患者さん向けの栄養指導や料理教室が行われ、祖母はそこで学んだことをもとに、祖父のために一生懸命食事を作っていました。

その姿を通して、「食事を通して人を支える、いい仕事だな」と感じました。子どもの頃に家族を通して感じた食事の力が、今の仕事へとつながっています。

中村

最初に勤められた総合病院では、どんなことを学ばれましたか?

鶴節子さん

最初に勤務したのは、透析医療をはじめ、糖尿病などさまざまな疾患の治療やホスピスなど、幅広い医療を行う総合病院でした。透析について学びたいという思いで選んだ病院でしたが、実際には多くの患者さんの栄養管理に関わり、多くのことを学びました。

新卒で入職して間もない頃から、自分たちで考え、対応しなければならないことも多くありました。分からないことがあれば大学に電話をしたり、他の病院へ見学をお願いしたり。「分からなかったら、自分から動く」という姿勢は、その経験から身につきました。

中村

地域の方と直接関わる仕事へ進まれた背景を聞かせてください。

鶴節子さん

出産・子育てを経て、行政機関での勤務などを通して、離乳食、生活習慣病予防、家庭訪問など、地域に暮らすさまざまな方と関わってきました。その中で改めて気づいたのが、住民さんと直接会って、話をする仕事が好きだということでした。

その後、病気を経験したことをきっかけに、これから自分は何をしていきたいのかを見つめ直しました。そこで見えてきたのが、住民さんと直接会い、その人の暮らしに寄り添う仕事でした。自分が好きなこと、自分だからできることを仕事にしたいという思いから自ら事業を始め、地元・合志市をはじめとする地域での訪問支援へとつながっています。

中村

栄養指導で、特に大切にしていることは何ですか?

鶴節子さん

一番大切にしているのは、「まず、その人のことを知ること」です。どんな生活をしてきたのか、何を大切にしているのか。話を聞きながら、この方だったら、何ならできるだろうという一つを見つけます。すべてを変えるのではなく、「まず、これだけ変えてみませんか?」という小さな一歩を一緒に考えます。

特に高齢者の方には、何十年という暮らしの積み重ねがあります。正しいことを一方的に伝えるのではなく、食事だけでなく、その方が大切にしていることや生活にも目を向け、「この人なら、ここから始められるかもしれない」という小さな一歩を一緒に探します。

すぐに変化が出ることばかりではありません。「またこの人に相談したい」と思ってもらえる関係をつくることも、大切な栄養支援の一つだと考えています。

中村

糖尿病クリニックでの栄養指導では、どのような瞬間にやりがいを感じますか?

鶴節子さん

現在は、糖尿病クリニックでの外来栄養指導にも取り組んでいます。患者さんの話を聞いて、その方ができそうなことを一つ、一緒に考えます。

次にお会いしたときに「やってみました」という言葉を聞いたり、よい変化につながっていたりすると、大きな喜びを感じます。生活のすべてを変えなくても、小さな行動が健康につながることがある。そんな瞬間に立ち会えることが、この仕事を続ける原動力になっています。

中村

管理栄養士の専門性を、これからどのように地域へ広げていきたいですか?

鶴節子さん

病院、行政、地域、クリニックと、さまざまな場所で仕事をしてきた経験から、管理栄養士の専門性を活かせる場所や働き方は、まだいろいろあるのではないかと感じています。

病院や施設だけでなく、地域に出て住民さんと話したり、行政や医療機関と連携したり。また、子育てなどで一度仕事を離れた方や、資格を持ちながら十分に活かす機会がなかった方にも、それぞれの経験や専門性を地域で活かせる場所をつくっていきたいと考えています。

中村

2026年から始まる東京サンロッカーズの専属栄養士という挑戦について、聞かせてください。

鶴節子さん

2026-27シーズン、東京サンロッカーズの専属栄養士へ挑戦します。東京サンロッカーズは、2026-27シーズンからB.LEAGUE PREMIERの舞台で戦うプロバスケットボールチームです。

これまで医療や地域、子どもの栄養・運動指導など、さまざまな現場で食と身体に向き合ってきた経験を活かし、Bリーグのトップレベルで戦う選手たちを栄養面からサポートします。選手一人ひとりの身体や目標、コンディションに合わせ、日々の食事から身体づくり、試合に向けたコンディショニングまで、食を通して支えていきます。

トップアスリートに求められる最新のスポーツ栄養を学び続けながら、これまで培ってきた管理栄養士としての経験と、「分からなければ調べ、人に聞き、自分から動く」という姿勢を、新しいフィールドでも活かしていきます。

中村

地域の方への支援とトップアスリートへのサポートを通して、これから届けたいことを聞かせてください。

鶴節子さん

地域の住民さんへの栄養支援と、トップアスリートへの栄養サポート。対象は違っても、その人を知り、その人に必要なことを考え、食から支えることは変わりません。

一人ひとりの暮らしを知り、「これならできそう」という小さな一歩を一緒に見つける。その積み重ねが、健康や暮らしの変化につながっていくと考えています。

食事から、何かが変わる。そのきっかけを少しでも届けられたら。地元・合志市を大切にしながら、少しずつ熊本へ。そして今、日本トップレベルのスポーツという新しいフィールドにも挑戦していきます。

鶴節子さん、インタビューにお答えいただきありがとうございました!

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