インタビュー中部医療看護

治療だけでは妊娠できない。現役不妊治療看護師が、栄養と生活習慣から妊娠力を高めるサポートを始めた話【不妊治療看護師 かおり】

インタビュー

この記事の見どころ

⭐️自分も多嚢胞性卵巣症候群に。数ヶ月生理が来なかった経験が、栄養サポートの原点に

  • 看護師として働きながら、自身も生理不順に長年悩んでいた。食生活を中心に整えたことで毎月来るようになった。「妊娠しにくい体だから治療しないとできない」と思い込んでいた人でも体は変わる。その経験が、今の活動の出発点になっている。

⭐️ 治療で妊娠できても、その後が大事。現場で見てきた妊娠中の合併症が動機に

  • 不妊治療→妊娠→出産という流れの中で、妊娠中の糖尿病や高血圧などの合併症を一定数見てきた。治療で妊娠はできても、それまでの食生活や生活習慣がそのままなら、赤ちゃんやお母さんの健康にも影響が出てくる。治療の現場が変えられない部分に、栄養サポートで入っていきたいという思いが生まれた。

⭐️ 「病院では聞けなかった」。不妊治療の不安を話せる場所を作りたい

  • 診察中は時間がなくてどんどん進んでいく。妊娠できなかった結果に涙されても、じっくり話を聞く時間が持てない。旦那さんにも話しにくい。そのデリケートな気持ちを打ち明けられる心の拠り所として、Zoomのカウンセリングを位置づけている。

⭐️ 治療現場を知っているからこその視点。医療×栄養×メンタルの三方向からアプローチ

  • 不妊治療クリニックの看護師として、今どんな状態にある体なのか、治療がどう進んでいくのかを医療の視点で把握した上で栄養サポートをしている。一般の栄養指導との違いはそこにある。

⭐️ 「やらされてる感」にならないようにコーチング形式で。2〜3ヶ月で体が変わったケースも

  • 「これをやってください」と一方的に伝えるのではなく、なぜそれが自分に必要なのか、生活の中で実践できる内容かどうかを一緒に考えていくスタイル。薬なしで生理が自然に来るようになった方や、ホルモンの異常値が正常値に改善した方も出てきている。

Interview

「赤ちゃんが欲しいと望んだ方が、妊娠を叶えて、より健康で幸せな妊娠・出産ができる未来を作っていきたい」愛知県で不妊治療クリニックの看護師として働きながら、個人でオンライン妊活サポートを行っている、かおりさんは、そう話す。自身も多嚢胞性卵巣症候群で数ヶ月生理が来ない時期があり、食生活を整えることで改善してきた経験を持つ。治療で妊娠できても、その後の健康な妊娠・出産につながる体づくりは治療現場ではカバーしきれない。そのジレンマが、分子栄養学を学んでオンラインサポートを始める原動力になった。NICU、産婦人科、不妊治療クリニックと歩んできた看護師の目線から、妊活さんの体と心を支えている。かおりさんにインタビューしました!

中村

現在の活動内容と、どんなサポートをされているか教えてください。

かおりさん

 不妊治療クリニックで看護師として働きながら、個人の方へのオンライン妊活サポートを並行してやっています。

分子栄養学の視点から、スムーズな妊娠を叶えられる体質改善のサポートをZoomやLINEを使って行っています。妊活中の方がメインですが、妊活以外の方も、体を整えたいという方にはサポートさせてもらっています。
サポートの流れとしては、栄養のキットを使って食事のバランスを確認したり、Zoomでどんなことなら変えていけそうか一緒に考えたりしていきます。
「これをやってください」と一方的に伝えるのではなく、なぜそれが自分に必要なのか、生活の中で実践できる内容かどうかを一緒に探していくコーチング形式に近い感じです。だいたい2〜3ヶ月で体が変わってきたなと感じてもらえることが多いですね。

中村

オンラインサポートを始めたきっかけを教えてください。

かおりさん

一つは自分自身の経験です。
私ももともと多嚢胞性卵巣症候群があって、数ヶ月生理が来なかったりとか、生理不順で悩んでいた時期がありました。それが食生活を中心に整えていくことで改善して、毎月来るようになってきたんです。

妊娠しにくい体だから治療じゃないと妊娠できないと思っている方もいるかもしれないんですが、私自身がそういう体が変わったという経験がありますし、こんな栄養素が足りないと妊娠しにくいとか体外受精の結果が変わるとか、論文でも出てきている部分があるので、そういうところが活動の根っこにあります。

もう一つが、治療の現場で感じているジレンマです。体外受精を何回やっても妊娠できない方が「他に何かできることはないですか」と聞いてこられても、現場で提案できるのは薬を変えたり自費の治療を進めたりといった部分になってしまう。食生活や栄養面のサポートは、治療現場ではなかなかできないので、そこを個人として補っていけたらという思いがあります。

中村

看護師になったきっかけと、これまでのキャリアを教えてください。

かおりさん

子どもや赤ちゃんが好きで、そっちに関わる仕事がしたいなと思っていたのと、安定した職業という面もあって看護師を目指しました。
最初はNICU(新生児集中治療室)に入って、赤ちゃんの誕生という人生の節目に関われる仕事がしたいと思っていたのですよね。
その後、出産の現場はどうなんだろうと思って産婦人科に移って、帝王切開や出産に関わる中で、不妊治療をして妊娠してこられる方がたくさんいることに気づきました。
それで不妊治療の現場ってどんなところだろうと思って、今のクリニックに移ったという流れです。

産婦人科にいた時にも感じていたのですが、妊婦健診で妊娠中の糖尿病や高血圧などの合併症がある方が一定数いて。そのままの生活習慣で妊娠してしまったらそうなるだろうなという状況を見てきた経験も、今の活動につながっています。

中村

仕事で大切にしていることを教えてください。

かおりさん

妊娠前からの自分の体に目を向けるということを、一番大切にしています。
今、政府からも「プレコンセプションケア」という妊娠する前から自分の体を整える考え方が広まってきているのですが、子宮内膜症や生理のトラブルを放っておくと、どんどんひどくなって妊娠しにくくなってしまうことがある。妊活で受診して初めてそういった問題に気づく方も多いのです。

体を整えていくことは、妊娠を叶えることだけでなく、自分の体に目を向けて自分を大切にすることや、将来の命をどう育んでいくかを考えるきっかけになると思っています。
もう一つ大切にしているのが、「その人が自分で答えを出していける」ようにサポートすること。「これをやりなさい」ではなく、なぜそれが必要なのか、自分の生活の中で実践できるのかを一緒に考えていく。そうしないと続かないし、やらされている感になってしまうので。

中村

これまでで大変だったことや、印象に残っている経験を教えてください。

かおりさん

サポートさせてもらった方の中で、薬を飲まないと生理が来ないと言われていた方がいて、ホルモンの異常もあったんですけど、サポートを続ける中でその採血の異常値が正常値になったり、薬なしで自然に生理が来るようになったりとかっという変化があって。
その方に「あの時一歩変わるって踏み込んだからこそ、今こうなれた」と言っていただいて。妊活以外でも、疲労感がなくなったり、便秘がなくなったりとか、体の変化も感じてもらって「人生変わりました」と言ってくれて。

そういう部分をちょっとずつ整えていくだけでも、今持っている不調や不安を手放して楽しいと思える人生に変わっていける。そういうことを感じてもらえたのが、一番うれしかったです。
難しさとしては、妊活はとてもデリケートな分野なので、妊活中の方が集まってお互いに励まし合う形がなかなか作りにくいというのはあります。ダイエットだったら「一緒に頑張ろう」ってなれるのですが、妊活だと他の人と比べてしまったりとか、センシティブな部分があって。一対一でしっかり向き合うことが大切だと感じています。

中村

活動を通じてどんな影響を与えていきたいか、これからの展望も教えてください。

かおりさん

治療をしてもなかなか妊娠できないと悩んでいる方、なるべく自然に妊娠したいと思っている方、将来の妊活に向けて今から備えたい方。そういった方たちに届いていったらいいなと思っています。

治療現場を知っているからこそ、医療の視点も持ちながら栄養や生活習慣の両方からアプローチできることが自分の強みだと思っています。あと、妊活ってデリケートな部分があるので、病院では聞けなかったこと、旦那さんにもうまく伝えられないこと、そういう気持ちを打ち明けられる心の拠り所になれたらとも思っています。
展望としては、クリニックの中で栄養指導と掛け合わせたサポートができる形を作っていきたいというのがあります。

不妊治療に栄養療法を取り入れているクリニックはまだ少ないので、医療と連携しながら食事や体質のサポートができるオプションみたいな形で関われたらいいなと思っています。妊娠前から妊娠後まで、トータルでお力になれる存在になりたいです。

中村

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

かおりさん

赤ちゃんが欲しいと望んだ方が、妊娠を叶えて、より健康で幸せな妊娠・出産ができる。そういう未来を作っていきたいと思っています。
妊娠を叶えたいけど思い悩んでいる方、より健康な妊娠・出産を見据えて妊活したいという思いを持っている方は、ぜひ気軽に相談していただけたら嬉しいです。
 

かおりさん、インタビューにお答えいただきありがとうございました!
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