インタビュー関西食品

一口目の甘さと、後に残る甘さ。スッキリして次が食べたくなる。焼き菓子店SaiToのクッキーが止まらない理由【焼き菓子店 SaiTo 幸地 菜央】

インタビュー

この記事の見どころ

⭐️学校前からおばあちゃんとサーターアンダギーを作り、近所に配り歩いた原体験

  • 沖縄出身のおばあちゃんと一緒に、1キロずつの分量で大量のサーターアンダギーを作り、近所のおばちゃんたちに袋に分けて配り歩いた幼少期。「ありがとう」と言ってもらえるのが嬉しくて、「何かを作るって楽しい」と気づいた原点。

⭐️ コロナで会社が傾き、父の体調悪化。二つが重なって「自分でやる」を決めた

  • コロナ禍で勤め先が倒産しかけるのを目の当たりにし、「雇われていても会社は潰れる」と実感。さらに父親の体調が悪化したタイミングが重なり、自宅にいられる働き方として独立を決意した。

⭐️ 「お菓子を作っている時のあなたが一番輝いている」

  • 旦那の一言が夢を取り戻させた 給食センター勤務のストレスでお菓子作りから離れ、笑顔が消えていた時期。旦那から「お菓子を作っている時のあなたが一番輝いているのに、今は全然そうじゃない」と言われて、自分でも気づいていなかった大切なものを思い知らされた。

⭐️ 「クッキーはどこも一緒」と思っている人にこそ食べてほしい。概念を変えたいという強い意気込み

  • 3,000円のクッキーといえば見栄えで選ぶもの。そういうイメージを変えたい。クッキーを主体でやっているからこそ、「焼き菓子を持っていくならうちのクッキーを絶対選んでほしい」という一点にこだわり続けている。

⭐️ 一口目の甘さと後に残る甘さ。スッキリして「もう一個」と手が伸びる設計

  • 甘さを控えめにして、口に残る甘さをスッキリさせることで、食べ終わった後にまた食べたくなる。「食べだすと止まらない」というお客様の声と圧倒的リピーター率が、その設計が正しいことを証明している。

Interview

「クッキーの概念を変えたくてクッキーを作っている」

福井県おおい町で焼き菓子店「SaiTo(さいと)」を営む幸地 菜央(こうち・なお)さんは、そう言い切る。ネット販売で6年目を迎え、2025年12月には店舗もオープン。沖縄出身のおばあちゃんとサーターアンダギーを作って近所に配り歩いた幼少期から、「作ること」と「ありがとう」が原動力になってきた。コロナ禍での独立、お菓子から離れた苦しい時期、旦那の一言による再起。様々な紆余曲折を経て辿り着いた「人を虜にするクッキー屋さん」。幸地 菜央さんにインタビューしました!

中村

現在の活動と、お店について教えてください。

幸地さん

 ネット販売と店舗販売を合わせてやっています。
ネット販売はもともとずっとやっていて、5月25日でちょうど丸5年、6年目に入りました。店舗は2025年12月15日にオープンして、今半年ほどです。

福井県のおおい町にあるCCパーク(シーシーパーク)というチャレンジショップ制度がある施設に入っていて、11時から18時、水曜定休で営業しています。今は店頭販売がメインになっていて、クッキー・焼き菓子・予約制のホールケーキを製造販売しています。
店頭の目玉商品はクッキーシュー。
ネット販売の頃からずっとやっているほろほろクッキーと合わせて、二つが看板商品です。

中村

独立のきっかけを教えてください。

幸地さん

コロナがきっかけです。コロナで勤め先の会社が倒産しかけているのを目の当たりにして、「雇われていても会社は潰れるんだ」と実感して。

だったら自分でやろうかなと思ったのと、ちょうどその時に父親の体調が悪くなったこともあって。誰かが家にいられる状況にしたかったし、父の病院に付き添えるようにしたかったんですよね。その二つが重なって、「自分でやろう」と決めました。

中村

お菓子を作り始めたのはいつ頃ですか?

幸地さん

自分一人で作るようになったのは小学生からですが、小学校に入る前からおばあちゃんとサーターアンダギーを一緒に作っていました。おばあちゃんが沖縄出身なので。

一キロずつの分量で作るから、できあがったら総量がものすごい量になるんですよ。
でっかい缶一杯分を少しずつ袋に分けて、近所のおばちゃんたちに配り歩いていたんです。「ありがとう」って言ってもらえるのが嬉しくて。そこから「何かを作るって楽しいな」と思うようになったんだと思います。
小さい頃からお菓子屋さんになるとは言っていたようで、無意識にその方向に向かっていたのかもしれないですね。
 

中村

クッキーを選んだのは何か理由があるんですか?

幸地さん

正直なんでクッキーにしたのかは分からないんですが(笑)、日持ちするっていうのは自分の中で嬉しかったと思います。生菓子だと「この日までに食べてください」ってプレッシャーになるじゃないですか。一週間くらい日持ちするものなら、その間で食べてもらえれば楽しんでもらえるなって。

誰かに渡す時の相手への優しさみたいなところも、クッキーを選んだ理由の一つかもしれないです。

中村

お菓子作りで大切にしていることを教えてください。

幸地さん

「クッキーの概念を変えたい」というのが一番根っこにあります。百貨店で3,000円のクッキーを買おうとしたら、みんな見栄えで選ぶじゃないですか。
どこのクッキーでもいいか、みたいになってしまうイメージがあって。でも私はクッキーを主体でやっているからこそ、「焼き菓子を持っていくならSaiToのクッキーを絶対選んでほしい」という意気込みでやっています。

こだわっているのは、一口目に口に入れた時の甘さと、食べ終わった後に口に残る甘さのバランスです。口に残る甘さがうわぁって重かったら、次が食べられないじゃないですか。スッキリして「もう一個食べたい」と思ってもらえる甘さを目指しています。だからリピーターがすごく多いんだと思います。
材料については添加物を使わないで、小麦粉と北海道バター、グラニュー糖か粉糖のみを基本にしています。子供でも安心して食べてもらえるものを作りたいというのがあって。

中村

お菓子を作っていない時期を経験したからこそ、気づいたことはありますか?

幸地さん

あの時期があったから、今の覚悟ができたんだと思います。仕事のストレスでお菓子作りから離れていた時、自分でも気づかないうちに笑顔がなくなっていたみたいで。

旦那に「お菓子を作っている時のあなたが好きだったのに、今は全然そうじゃない」と言われた時、「あ、お菓子作っていない自分はしんどいんだ」って初めてはっきり分かったのです。

離れてみて分かったのは、私にとってお菓子作りは趣味とか仕事とかじゃなくて、自分そのものだということ。
誰かに「ありがとう」って言ってもらえる嬉しさを知ってしまったら、もうそれ以外の選択肢はないんですよね。だから今は迷いがないです。しんどい日があっても、やめようとは思わない。あの時に一回離れたからこそ、それがはっきり分かりました。

中村

SaiToのクッキーで、どんな影響を届けたいですか?また、これからの展望を教えてください。

幸地さん

お客さんの声でうれしいのが、
「甘さが控えめだから旦那がよく食べました」「子供がめちゃくちゃ好き」という声です。
買ってくれた人だけじゃなくて、その周りの人まで笑顔にできているんだなと感じていて。SaiToのクッキーがある食卓で、そこにいるみんなが笑顔になってくれたらという思いがあります。
ネット販売では最多で30回以上購入してくださっている方もいて、食べ続けてもらえているのが何より嬉しいです。

展望としては、今は福井で店舗をやっていますが、将来的には実家のある兵庫県に戻って、庭先にプレハブの販売所を建てて、月3回の販売会をやれるような形にしていきたいと思っています。日常的に買いに来てもらえるような、地元に根ざしたお菓子屋さんになれたらと思っています。

中村

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

幸地さん

クッキーってどこも一緒だと思っている方にこそ、一度食べてみてほしいです。ほろほろ崩れる食感と、スッキリした後味で、気がついたら一袋なくなっていた。そんなクッキーを目指して作っています。

ネット販売はminneとBASEで購入できます。福井にお越しの際はぜひ店舗にも遊びに来てください!

幸地 菜央さん、インタビューにお答えいただきありがとうございました!
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